手放すとは、広い意味で使われる言葉です。文字通り、つないでいた手を離すことから、大事にしていたものを人に譲る、強く執着していた考え方をやめるなど、さまざまな場面で使われます。
私たちが変化や成長を求めるなら、手放さないといけないことは多いでしょう。例えば、いつまでも子供に細かく世話を焼かないで、成長とともに手放したり、いつまでも同じ人が役職につかないで、手放して後進に譲ったりすることが必要です。
心の問題も同じです。強い不安を抱えていると、いつまでも同じ対象や同じ考え方を手放せないでしがみついてしまいます。しかし、同じ対象や考え方では、同じ不安を繰り返します。問題はその不安にあるので、不安を手放すことが必要なのです。
不安を抱えていると、人も自分も信頼できず孤独です。安心できる場所がないのです。不安の反対語は信頼・安心です。不安を手放すには、信頼できる関係や安心できる場所を見つけたり作っていくことが必要になります。
現在、アルコール依存症、ギャンブル依存症などの依存症の治療では、自助グループが最も重視されています。同じ苦しみ、同じ不安を抱えた同士が率直に自分を語る集まりは、孤独を癒し、不安を和らげ、自分を責めるばかりの思考から解放してくれます。不安を手放して初めて回復への意欲が湧いてくるのです。
