
今日はACEについて、最近放送されたNHKEテレの番組から紹介し、考えてみたいと思います。
ACEはAdverse Childhood Experiences の頭文字を取った略語で「逆境的小児期体験」と訳されています。18歳までに経験する虐待やネグレクトなど、逆境的なできごとを指し、90年代後半にアメリカで発表され、その後世界的に研究されています。
具体的なACEは次の10項目が挙げられています。
1.身体的虐待 2.心理的虐待 3.性的虐待 4.身体的ネグレクト 5.心理的ネグレクト 6.親の別離 7.DVの目撃 8.家族のアルコール・薬物の乱用 9.家族の精神疾患 10.家族の服役
ACE経験者は成人の約3人に1人いると言われています(京都大学生涯学習ウエブ調査2021)。私たちも含め、身近な多くの人々が抱えている問題なのです。
ACEの項目の当てはまる数が多いほど、ACEスコアが高いと言われ、心疾患や脳卒中などの身体的なリスクが高まったり、対人関係や精神的不調に悩むことが多いとされます。
私たちが自分を考えるとき、このACEスコアをつけてみることが必要かもしれません。
ACEの項目は、どれも子供の力ではどうしようもできないものばかりです。しかし私たちは子供の時、ACEで苦しむ自分を責めていたはずです。親が暴力を振るったり不幸になるのは、子供の自分が悪い子だからと考えてその状況を受け止めようとするのです。
ACEの体験と、自分を責める考え・感情は心の中に残り続け、私たちを苦しめます。
自分の中にあるACEを知り、それが自分にどのような影響を及ぼしているかに気付くことが大事です。その人に添った、具体的な治療や援助が求められるのです。