寂しさはどこに

生きることは感情の賜物です。うれしい、楽しい、愛しいなど、喜びに満ちた感情の数々のお陰で私達の日々は輝きます。

逆に、恐怖、不安、怒りなど、生きることが苦しくなる感情の数々は沈鬱な日々をもたらします。

ところで、悲しい、寂しいという感情はどうでしょう。

大事なもの、大事な人を失った時、私達はうつろになり、次第に悲しく、そして寂しくなります。心の中の大きな存在を失い、心が傷つき、ぽっかり穴が空いたのです。

悲しい、寂しい気持ちは、泣いたり、周囲と分かち合ったり、文章や絵で表現したりしながら、少しずつ癒されることが多いのですが、穴が空いたままうつろさ・虚しさを抱えて行くこともあります。

そもそも、大事なものや大事な人を失ったことが分からない場合もあります。暖かい家庭でなかった、親の役割・機能がなかったなど、最初から失われていると、失くしたとは思えないのです。

生き辛さを抱えた人生を振り返り、最初から失われていた故のうつろさに気づき、そのことに対し悲しい寂しいという感情が芽生えることは大切です。

 

悲しい、そして寂しい感情が湧いて涙を流すことができたら、次にはきっと、自分を愛おしむ感情が育ってくるでしょう。