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親になれない親

最近「親といるとなぜか苦しい」(リンジー・C・ギブソン)という本を読みました。大人になれない親を持った子供達が味わう苦しみと、そこから自由にはどうしたら良いかが書かれた本です。

私もこの本に触発され、次のようなことを連想しました。

親は親の役割、子供は子供の役割を果たすことで家族という集団が形成されます。親があって子供が産まれますから、まず親が親の役割をすることから始まります。

そこで、親が親の役割ができないことがあると、子供は強い不安や見捨てられ感情などを抱き、健全な成長が妨げられます。親の役割とは、子供を見守り、表現を尊重し、学業や運動をサポートし、問題があれば相談に乗りと、子供の後方支援に努めることです。

親の役割ができない親は、自分がまだ子供で、後方支援ではなく自分が中心になりたがるというケースがあります。そこで、子供がそのサポートに回らざるを得ないことが、多々あるのです。

ところで、「なぜ大人になれない」大人ができてしまうのでしょう。

子供の頃、自分にまつわる強い不安にさらされ、自分では解消できず周囲にも分かってもらえないと、その不安にずっと支配されている可能性があります。不安の解消をいつも求めて、それが中心の生活となっているのです。

不安に向き合わない限り、本当の解決にはならないのですが、それができないまま、一時的な慰めを求めることが繰り返されます。これが続いて行くと、子供も不安解消の手段となります。中心となるのは、いつも子供でなく親なのです。

親に自分を分かってもらえなかった子供は、今度はその不安から親になっても十分な親の役割ができないでしょう。このようにして、負の連鎖が続いていきます。

このような親から自由になるにはどうしたら良いかは、先の著を読まれることをお勧めします。

ともすれば親子関係は、世間一般の既成概念で捉えられがちです。親は愛情深く正しい存在で、子供はそんな親に従って成長するものだと。

そんな世間の常識から外れた親を持った子供は、常識に合わない自分が悪いのではとか、もっと努力すれば分かってもらえるのではと考えます。

 

実は親が親になれず子供の状態のこともあることが、常識となることが必要です。そして、苦しむ子供が相談しサポートしてもらえる場所を作って行くことが、これからの課題だと思われます。