心が弱る時、周りが絶対的で圧倒的に見え、自分は無力で何も良いところはないような気分になります。そこで、ますます自分を責め、心はさらに弱り動けなくなります。
石川啄木は「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ、花を買い来て妻としたしむ」と詠みました。これは心が弱った時のとても良い対処法だと思います。自分のために花を買い、愛する妻と楽しむ時間は心を回復させてくれるでしょう。
普通は、心が弱るとそんな自分を責めて孤立しやすいものです。
ところで、なぜ心が弱ると周囲が絶対的に見えるのでしょう。それは、心の中の不安感が周囲に投影されるので、周囲が自分に比べて強く絶対的に見えるのです。そんな周囲に対して安心感は持てず、圧迫されるように感じ、怖さを覚えるようになります。
不安感は周囲の多くの存在に次々と投影されますから、投影されたものに自分は包囲されてしまい、安心できる場所がなくなって行きます。こうなると、眠ることすら難しくなるかもしれません。
もともと、不安感を分かってもらえず一人で抱え込むことが多いと、周囲に安心よりも不安を覚えやすいでしょう。自分の安心できる場所がどこにもないような感覚を抱いている人は、案外多いのかもしれません。
人の心は、情況次第で弱って行き、自分の力だけではどうしようもないことが多いのです。このような時、不安を投影しても安心感で返してくれる場所が人には必要です。
安心できる場所がなくなった(もともとない)と感じた場合、自分を責めないで、自分のために新しい場所を探してやりましょう。不安を投影するばかりですり減ってしまった自分が、取りあえず休める場所を。次に回復する場所を。