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融合の世界から

世の中には、自分で決めることを避けている人がいます。相手に合わせたり、周囲に合わせたりの繰り返しで、自分で決めてと言われると、途端に不安になります。

自分の意志を持たず、相手に受け容れられたいという気持ちを中心に動いているのです。受け容れられると安心しますが、相手に合わせてばかりでは、いずれ苦しくなります。苦しくなっても、自分以外のものに依存する状態を、止めることができません。

このような、相手あっての自分、周囲あっての自分とは、早期の母子関係まで遡る、母子一体の世界です。成長しても、強い不安があるとこの母子一体の世界に戻ってしまうことがあります。

この世界は、相手の欲求と自分の欲求が分け難い世界です。自分の欲求と他者の欲求が融合した世界は、一見不安がなさそうですが、実は自分を失くす不安な世界です。

本当の意味で幸せな母子一体の世界を経験すると、成長して時期が来れば、自然と離れて、自分の欲求に従い自分の世界を作って行きます。しかし、母親や本人が大きな不安を抱えていると、この世界から離れられないことがあります。

一人の人間として生きるには、一時的な安心はあっても、本当は不安に満ちたこの世界から離れることが必要です。

 

そのために必要なのは、答えを外に求めず、自分に問いかけること、今まで顧みなかった自分に向き合うこと、本当の意味での自分ファーストです。