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心の手入れ

手入れのいい庭とか、家の手入れが大事とか、手入れはよく使われる言葉です。これは、日常的にこまめに気を配り補修をしたり、新しいものと取り換えたりして、手をかける様を意味します。私達の周辺の環境は、日頃の手入れの積み重ねで、維持されています。

私達の心も同じで、日々の手入れが必要です。例えば、気分が晴れずもやもやしていたら、どうすれば解消するか考え、手入れすることが必要となります。

原因となっている相手がいるなら話し合ってみる、それができない相手なら距離を取るなり、どこかで愚痴を言って一時的に発散するなど、いろいろ考えられます。

一番良くないのは、もやもやする自分が悪いと言って自分を責め、何とか相手と合わせようとし続けることでしょう。これは相手を主体に考え、自分の心を顧みず手入れをしていないことになります。

このように、心の手入れは大事ですが、案外難しいものです。心の手入れは、自分と距離を取って見ているもう一人の自分がいないと、できないからです。

自分ともう一人の自分が、手入れの必要な状況をついて話し合います。自分自身はその状況の中で、不安になったり傷ついたり、逆に居丈高になったり、かなり感情に支配されています。もう一人の自分がそれを見て、なだめたり冷静になるよう促したりします。その葛藤の中で、現在の最善の方法は何か探っていくのです。

自分を見るもう一人の自分は、愛情を持って見守ってくれる、親などの視点を取り入れて形成されます。このような存在がいなかったり、愛情よりも支配の方が強かったりする場合など、自分を見るもう一人の自分を作って行くのはなかなか困難です。その結果、心の手入れができず、不安や否定的な気持ちが溜まっていくことになりがちです。

もう一人の自分とは、自分を肯定し認めてくれる自分です。精一杯生きて来た、ありのままの自分を、受け容れてくれる自分です。

 

自分を認める努力とともに、ありのままの自分を受け容れてくれる人や場所を探すことが必要です。ここから、心の手入れが始まります。