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自分の受け容れ

自分を認める、受け容れる、当たり前のようですが、実は一番難しいことかもしれません。

私達は生まれ落ちて、自分の欲求に従いながら生きるうちに、周囲に受け容れられる欲求と受け容れられない欲求があることが分かってきます。受け容れられない欲求を何とかあきらめ、受け容れられる欲求を楽しみながら、徐々に個性が育ってきます。

ところが、自分の存在自体の受け容れとなると、これは生きる根幹にかかわる問題です。

両親の仲が悪く居場所がなかったり、子供を顧みる余裕がない環境など、様々な事情がある中で、子供は自分が受け容れられてないと感じることがあります。存在を受け容れてもらえないことは、生きる土台が揺らいだり欠けたりしているようなもので、非常な不安をもたらします。

この不安を解消しようとして子供は良い子になろうとしたり、大人のような役割を取って周りの役に立とうとしたりして、受け容れてもらう努力をします。しかし、その行為自体は受け容れられても、存在自体を受け容れてもらうのは、余裕のない状況の中では難しいのです。

このように存在を受け容れてもらう体験が乏しいと、成長しても自分で自分を受け容れることが難しくなります。自分には何か足りないものがあると感じ、何かにつけ自分を責め、達成感が持てずいつも不安です。この不安を埋めるため、強い存在に頼ったり、気分を変えてくれる薬やギャンブルに依存したりすることがあります。いずれも一時しのぎのやり方なので、不安が消えることはありません。

このように、自分の存在を受け容れることができないと、自分の人生を生きることは辛く困難になります。

一番大事なものが得られず、苦しい人生を歩んできたことを、一度立ち止まって考えてみましょう。立ち止まれる場所で、立ち止まる自分を責めないで。

 

それが、自分を受け容れる始まりとなります。