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「ライフスキル」と「サバイバルスキル」

この二つの言葉を最近知り、いわゆる依存症的な行動を「サバイバルスキル」と名づけたことに考えさせられました。

ライフスキルは人生を歩んで行くのに欠かせないスキル、一方サバイバルスキルは生き延びるために必死で行うスキルです。

ライフスキルは安心できる環境で、親や指導者などと交流して、日々身に着けて行くものです。ライフスキルが身に着くにつれ、私達は自分を肯定し人生を受け容れて歩んで行けるようになります。

一方のサバイバルスキルは、生き延びるために自分一人で発見した方法と言えるでしょう。子供の頃の安心できない環境、大人からの配慮のない孤独な環境、学校や社会で適応できず逃げ場のない環境など、生き辛い環境の中でサバイバルをかけて考え出された方法です。

具体的には、ゲーム、過食や拒食、アルコール、薬物、ギャンブルなど、一時的に逃げ場を用意してくれ、幸福感や万能感をもたらしてくれる方法です。ただし、あくまで一時的な効果しかないので、また繰り返さないといけなくなるのが難点です。

繰り返すうちに、このスキルの方が生活の中心になってしまい、支障をきたすことが多々あります。生き辛さから逃れ生き延びるために始めたことが、生き辛さをさらに加速してしまうことになるのです。そうこうするうちに、現実との接点を見失い、引き籠ってしまうこともよくあります。

サバイバルスキルを考え出した時は、生き辛い現実から解放されたい、自分を肯定したいというニーズがあったはずです。これは、生きて行く自分にとって、何より切実な気持ちです。

この気持ちを当たり前のように口に出したり、受け容れてもらえる環境がないまま、社会の中の孤島にいる気分、社会の中のロビンソン・クルーソーの状態となってしまい、サバイバルスキルを使うようになるのです。

 

ともすれば、サバイバルスキルのもたらす問題に目が行きがちですが、それを選んだ時の気持ちこそ発見して目を向けないといけないものでしょう。ロビンソン・クルーソーも発見されない限り、物語の主人公にはならないのですから。