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コロナの日々に

 

 新型コロナ感染拡大を防ぐため、ひたすら自粛の日々が続きます。

 

私は気分転換と運動のため、近くの若杉山に登ることが増えました。正確には若杉山頂上の横の、米の山展望台を目指して登ります。約600m、東京スカイツリーくらいの高さでしょうか。キャンプ場も閉鎖された現在、登山者は数えるほどで、たまに車とすれ違う程度です。

 

道は舗装されていてとても歩きやすく、自然が豊かな山中は飽きることがありません。若杉山の名前の通り、真っすぐに伸びた杉の巨木がうっそうと立ち並び、道端には多くの種類の草が茂っています。「雑草という名前の草はない」と言われる通り、一つ一つの草は違い、それぞれとてもユニークな形態です。

 

今は春なので花が咲いている植物が多く、小さいけど色も形も個性的で美しい花があちこちに見られます。大きな木に絡みつき存在感のある藤や、ひときわ目立つアザミなども今が盛りです。

 

山の中ではいろいろな鳥が鳴いていますが、今響くのは鶯の「ホーホケキョ」です。シンとした山の中で聞くと、何かを告げられているような気分にさせられます。

 

米の山展望台からは、海に向かって広がる福岡の景色が一望できます。自分の住む街が大きな視野で俯瞰できるのです。まさに鳥の目になって眺めている気分で、何とも言えない解放感があります。

 

 

 

「俯瞰」の感動を体験しながら考えてみました。

 

心が行き詰っているとき、その状況を俯瞰して見たら、目からうろこの新しい視点が得られるのではないでしょうか。

 

私達は社会情勢や人間関係など、自分を取り巻く網の目のような状況の中で暮らしています。それが硬直的なものになると、がんじがらめになって自由がなくなり、心は行き詰って行きます。何とかその状況を変えようと頑張っても、ますますそこに組み込まれることになりやすいのです。

 

家族同士が依存と攻撃を繰り返している場合などまさにその状況で、互いを思いやるよりも、相手をコントロールすることばかり考えるようになります。肝心かなめの自分を顧みることができないため、心が空虚になって行くばかりです。

 

まず一歩、心だけでも外に出て、次にこの状況を俯瞰することができる距離まで行けたらいいですね。自分の力だけでは如何ともしがたい状況が見えてきます。

 

もちろん登山と一緒で「俯瞰」を手に入れるには、一歩一歩登って行く道程があり、助けてくれる道案内が必要ですが。