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三人の怒れる男たち

 

 現在の世界の中心となっている大国は、アメリカ、中国、ロシアの三国です。かつてのアメリカ、ソ連を中心とした世界を二分する東西冷戦とは違ったバランスが働いています。

 

この三国のリーダー達について考えてみると、ある共通の特徴があるように思えます。それは、かつての栄光の復活が、政治の目標になっていることです。

 

アメリカのトランプ大統領はアメリカファーストを掲げ、かつて栄えた製造業を復活させ、自国の生産品を高く売り、他国民を排除しようとします。中国の習近平主席は、かつて世界の中心を自負した中華思想の現代版とも言える「一帯一路」政策を推し進め、周辺国との交通網を広げつつ傘下に収めて行っています。ロシアのプーチン大統領は、旧ソ連の秘密組織KGBの出身です。ソ連は広大な領土や支配国を持ち、アメリカと世界の勢力を二分しました。プーチン大統領は、そのようなかつての力を取り戻そうとしているように見えます。

 

私たちも失意の時は、ついかつての栄光を取り戻したくなります。同級生の中で輝いていた自分、仕事で成功を収めた頃の自分など。何かを失って傷ついた心は癒しを求めるものです。そんな時、過去の栄光を取り戻せば、心に空いた穴も一気にふさがって癒されそうです。でもそれは過去の栄光で、現在のことではありません。

 

3人のリーダー達も過去の栄光を求めてままならず、怒っているのでしょうか?独断的な言動が目につきます。

 

現代社会は、地球の温暖化や経済格差、難民問題など、たくさんの問題を抱えています。本当はこの三国が力を合わせてこれらの問題に取り組み、新たな解決策を模索することが失意を乗り越えることにつながります。新しいものを創造していく過程こそが、本当の意味で私たちを癒してくれるはずですから。でも現実は、3人の怒れる男たちが、それぞれ別の方向を向いているように見え、とても残念です。